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Journey to Venetia
イタリア、ヴェネチアのムラノ島でガラス職人が1本1本手作りしているガラスペンは、ガラスの魅力を凝縮したような素敵な佇まいです。
ムラノ島のガラス工房の多くは、家族で代々受け継ぎ、製造技術を守っていらっしゃいます。
私共と工房とのお付き合いはもう20年近くになります。
ガラスペンの魅力は、なんと言ってもその「アナログ感」でしょうか。
便利でスピーディーに進む世の中とは違い、手に持って書く時には、ちょっと異空間に入り込んだような、ゆっくりと、おだやかな時間の中に入り込めます。
書くたびに、ガラスの心地よい重量感となめらかな書き心地、インクの香りに、気持ちがすっとおだやかになっていくような気がしませんか?
ヴェネチアンガラスのペンが生まれる場所、制作風景を、仕入時に撮った写真(2019年)でご紹介します。
ヴェネチアへはミラノから特急列車で行きます。
朝9時前後の列車に乗って、お昼前にはヴェネチア本島へ到着。
薄曇りのミラノを出発し、田園風景や葡萄畑、ロミオとジュリエットの舞台となったヴェローナなど、車窓からの景色の移り変わりは何度行っても見飽きることはなく、「次はヴェネチアだ!」と思った瞬間に目の前に広がる地中海の眺めに心躍るのです。
ミラノ中央駅。
巨体の特急列車は「チューリッヒ行き」「フランクフルト行き」など。ヨーロッパが地続きであることを改めて感じさせてくれます。
朝9時前後の列車に乗れば、お昼ご飯はヴェネチアで。
ヴェネチア本島のSanta Lucia駅。
目の前に広がる運河やボート、ひなたぼっこする旅行者。ヴェネチアのにぎやかな玄関口です。
泊まりはヴェネチア本島のホテル。チェックイン後、ささっと昼食を済ませたら水上バスでムラノ島へ渡ります。
橋の上から運河を眺めます。
行き交うボートはヴェネチアの生命線です。人も荷物も食料も、多くはボートで島内の各所へ配達するのです。
運河の両岸にはぎっしりと古い建物が連なります。奥へ行けばさらなる迷路。
この日は少し霧が出ていたので、汽笛を鳴らしながらの運行。
運河を抜けて大海に出てから、ボートは一気に加速してムラノ島へ進みます。
40分程でムラノ島へ到着。
ヴェネチア本島に比べると建物も低く、全体的にのんびりとしています。
ガラスモザイクでできた美しいパネル。
描かれた金獅子はヴェネチアの象徴。本島のサンマルコ広場でもそこかしこに鎮座しています。
こちらのガラスモザイクはムラノ島の象徴なのか?赤も金もとにかく綺麗です!
ガラスペンを作ってもらっている工房まで歩いていく途中にある、ムラノ島最古の教会です。1000年以上も前のもの。
また別の建物。美しく瀟洒な建築、時を経て深みを増すレンガにため息が出ます。
How to make GLASS PEN?
ガラスペンの制作風景で、どう作る?をご紹介します。
作るのはこちらのペンです。
彼女が左手(写真右側)に持つのは緑色のガラス棒。
炎の下に見えるのはAvventurin(アヴェンチュリン)と呼ばれる金色の粉末。
熔かしたガラス棒の先に、このアヴェンチュリンを熔着させ、全体をなじませて温度を一定に保ちます。
炎の中で三角形に見えているガラスの塊部分が、この後ペンの持ち手部分になります。
彼女が右手に持つのは透明色のガラス棒。
ガラス棒の先をバーナーの炎で温めておき、緑色と透明色の間のオレンジ色に見えている部分とを熔着させます。
この時、すべてのパーツの温度が合っていないと、温度が下がってきた時に内側から割れてしまったりします。
ガラス制作は「温度」がとても大切なのです。
彼女が右手に持つ透明色のガラス棒を引っ張ります。
右手に持つ透明色のガラス棒を引っ張りつつ、ねじっています。
ねじれて行くのは、アヴェンチュリンをつけた緑色のガラス部分です。
左手に持っていた緑色のガラス棒は切り離し、ペンの持ち手部分を右手に持ち替えます。
右手に持つ透明色のガラスを、本体の先に玉状にくっつけます。
この時も、温度を合わせることが重要です。
左手に持っているのがガラスペンの本体部分。ねじねじしています。
この時点で、触ればやけどレベルの温度ですが、ガラス自体はかなりカチカチです。がラス棒自体が重さで自然に下へ落ちて行くことで、持ち手部分の「真っ直ぐ」をキープさせます。
右手に持っているのがペン先です。
ペン先部分と、持ち手部分の先、この両方の温度を合わせ、熔着させます。
彼女は熟練の職人ですから平気ですが、バーナーの炎と手先の距離は近く、見ているこちらは恐怖です。
右手でペン本体を軽く引き上げ、左手でペン先部分を支えながら、全体を「真っ直ぐ」にしていきます。
ペン先と反対側のガラスを切り離し、尖りがないように処理をしたら完成です!
いかがですか?
見ていると流れるような作業で、見飽きることがないのですが、それこそが「熟練」の技術なのですね。
工房はムラノ島の運河沿いにあり、時間帯によっては潮の香りが工房にいても感じられ、明るくおしゃべりなママと息子さんが制作し、ママのお友達がショップを手伝っていらっしゃいます。
いつ行ってもにぎやかで居心地の良い、私にとってはいつだって帰りたくなるような場所です。